リキモリ 大東潤滑株式会社
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更新履歴
特許権成立

(12)特許公報(B2)

(11) 特許番号 特許第4305602号
(45) 発行日 平成21年7月29日(2009.7.29)
(24) 登録日 平成21年5月15日(2009.5.15)
(51) Int.Cl. CO3B 40/02 (2006.01)
CO3B 9/48 (2006.01)
  F1 CO3B 40/02
CO3B 9/48  Z
(21) 出願番号 特願2001-313623(P2001-3132623)
(22) 出願日
平成13年10月11日(2001.10.11)
(65) 公開番号 特開2003-119047(P2003-119047A)
(43) 公開日 平成15年4月23日(2003.4.23)
  審査請求日 平成14年11月29日(2002.11.29)
  審判番号 不服2006-21488(P2006-21488/J1)
  審判請求日 平成18年9月25日(2006.9.25)
(73) 特許権者 000222222 東洋ガラス株式会社
東京都千代田区内幸町1丁目3番1号
(73) 特許権者 598048093 大東潤滑株式会社
東京都中央区日本橋富沢町12番8号
(74) 代理人 100088823 弁理人 神戸 真
(74) 代理人 100118348 弁理人 川端 佳代子
(72) 発明者 小林 明
神奈川県横浜市中区小港町1-1-2 ビューコート小港1-907
(72) 発明者 佐藤 英一
神奈川県横浜市栄区若竹町34-18
(72) 発明者 山中 邦雄
東京都中央区日本橋富沢町12-8 大東潤滑株式会社内
  合議体
審判長
審判官
審判官

板橋 一隆
天野 斉
木村 孔一
(56) 参考文献 特開平02-192424(JP,A)
特開昭56-069275(JP,A)
(58) 調査した分野
(Int.C1., DB名)
C03B40/00-04
(54) 発明の名称 ガラス製品の成形方法
(57) 特許請求の
範囲
【請求項1】
  5〜30wt%の窒化ホウ素(BN)粉末と0.2〜1wt%のコロイダルアルミナ系バインダーを水中に分散させてなる潤滑離型剤を塗布した後乾燥させることでコーティングを行った金型を用いたガラス製品の成形方法であって、1回のコーティングで複数のガラス製品を連続して成形することを特徴とするガラス製品の成形方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
  本発明は潤滑離型剤をコーティングした金型を用いてガラスびんなどのガラス製品を成形する方法に関する
【0002】
【従来の技術】
  ガラス製品を成形する金型には、潤滑性と離型性とが求められる。潤滑性は金型面に対するガラスの滑り易さで、潤滑性が悪いとガラスが正確な形に成形できなかったり、肉厚が不均一になったりして不良品の発生率が高くなる。離型性は金型面に対するガラスの離れ易さで、離型性が悪いと脱型に際してガラスが金型面から離れるときに金型面に引っ張られ、傷(いわゆる「ビリ」)が生じる。このような傷は、特にガラス製品の表面に凹凸によって形成される模様や文字の部分(いわゆる模様ビリ、文字ビリ)、ガラスびんの肩の部分(いわゆる肩ビリ)に発生しやすい。
【0003】
  潤滑性と離型性を改善するため、金型には潤滑離型剤によるコーティングがなされる。従来の潤滑離型剤は、グラファイト又は二硫化モリブデンを含有するものが主で、金型に塗布後加熱して溶剤を揮発させ、コーティング被膜を生成するものである。
【0004】
  また、特開昭55-141561、特開平10-324530には、スパッタリングにより金型表面に窒化ホウ素層を形成する技術が開示されている。このようにして形成された窒化ホウ素層は離型性と耐久性に優れるものであることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
  従来のグラファイト又は二硫化モリブデンを含有するコーティング被膜は、溶融ガラスが作用するような高温域においては、潤滑性能が不十分であり、また、耐久性にも問題があって、コーティング被膜が金型から剥離しやすく、剥離した被膜がガラス製品に転写され、不良品となってしまうことが多かった。また、補助的に鉱物油の離型剤を金型に頻繁に塗布する必要があり、作業能率が悪くなっていた。
【0006】
  スパッタリングにより金型表面に窒化ホウ素層を形成する技術は、非常にコスト高で、かつ、時間と手間を要するので、非常に付加価値の高い特殊なガラス製品(例えば高精度が要求されるレンズなど)のみに使用されるもので、一般のガラス製品の製造においては非現実的で、使用されていない。
【0007】
  本発明は、容易にコーティングを行うことができ、溶融ガラスが作用する高温域においても潤滑性、離型性に優れ、また、耐久性にも優れる潤滑離型剤及びコーティング方法を開発することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
  本発明は、5〜30wt%の窒化ホウ素(BN)粉末及び0.2〜1wt%のコロイダルアルミナ系バインダーを水中に分散させてなる潤滑離型剤を塗布した後乾燥させることでコーティングを行った金型を用いたガラス製品の成型方法であって、1回のコーティングで複数にガラス製品を連続して成形することを特徴とするガラス製品の成型方法である。
【0009
  窒化ホウ素は5wt%よりも少ないと生成されるコーティング被膜が薄くなりすぎて潤滑離型効果が小さくなり、30wt%よりも多いと潤滑離型剤液(コーティング液)の流動性が損なわれ、適切なコーティングが行えない。コロイダルアルミナ系バインダーは0.2%よりも少ないと生成されるコーティング被膜の安定性が損なわれ、1%で十分その効果が発現されるのでこれよりも多くする必要がない。
【0010】
  コーティングは、潤滑離型剤を金型に塗布した後乾燥させることにより行う。塗布方法は、スプレーによる吹き付け、刷毛塗りなど任意の方法で良く、乾燥は自然乾燥、乾燥炉やドライヤーなどによる強制乾燥を問わないが、自然乾燥でよいので、従来の潤滑離型剤のように焼き付け炉設備を保有する必要がなく設備の簡素化と作業性が改善される。
【0011】
  本発明において前記のコーティングを行うと、金型表面に窒化ホウ素粒子の集合した被膜が形成される。コロイダルアルミナ系バインダーの作用により、窒化ホウ素粒子どうし、また、窒化ホウ素粒子と金型面とが強固に結合し、安定した被膜となる。この被膜は潤滑性及び離型性に優れると共に熱に強く耐久性にも優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
  実施例1:
  10wt%の窒化ホウ素粉末と0.5wt%のアルミナゾルのバインダーと水とを混合攪拌して窒化ホウ素及びバインダーを水中に分散させ、実施例1の潤滑離型剤を得た。
【0013】
  実施例1の潤滑離型剤を、それぞれガラスびんを成形する粗型、仕上型、口型にスプレーガンで吹き付けて塗布し、室温で約30分間乾燥させ、コーティングを行った。
【0014
  これらの金型を用いてあるガラスびんを成形した。実施例1をコーティングした金型は5時間連続して問題なくガラスびんを成形することができ、従来の潤滑離型剤(グラファイト又は二硫化モリブデンを含有するもの)をコーティングしたものに比べて2倍以上の数のガラスびんを成形することができた。成形したガラスびんは、潤滑離型剤の転写も、ビリ(傷)の欠点もなく、十分な品質を有するものであった。
【0015
【発明の効果】
  本発明によって生成されるコーティング被膜は溶融ガラスが作用する高温においても十分な潤滑性、離型性、耐久性を有するので、高品質のガラス製品を成形することが可能であり、また、1回のコーティングで数多くのガラス製品を成形できるので、ガラス製品の製造能率が向上する。コーティングは、金型に塗布して自然乾燥すればよいので、きわめて容易かつ安価に行うことができる。
特許証 (PDF 600KB) PDF

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